存在

31/32
448人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
朝食を食べ終わると、私の出社時間に合わせて菜々美も一緒にアパートを出ることにした。 「さっすがお姉ちゃん」 玄関で靴を履いた菜々美が満足気に笑った。 夕べ、私は寝る直前にももう一度新聞を交換したのだ。 この日は私の努力を労うように、空には晴れ間が覗いていた。 「帰るまで降らないといいんだけど」 駅までの道のりの間に幾度となく空を見上げて呟いた。 「大丈夫だよ。雨に降られて靴が濡れたら、また新聞紙丸めて押し込んどくから」 「だね」 私たちはクスクスと笑った。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!