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朝食を食べ終わると、私の出社時間に合わせて菜々美も一緒にアパートを出ることにした。
「さっすがお姉ちゃん」
玄関で靴を履いた菜々美が満足気に笑った。
夕べ、私は寝る直前にももう一度新聞を交換したのだ。
この日は私の努力を労うように、空には晴れ間が覗いていた。
「帰るまで降らないといいんだけど」
駅までの道のりの間に幾度となく空を見上げて呟いた。
「大丈夫だよ。雨に降られて靴が濡れたら、また新聞紙丸めて押し込んどくから」
「だね」
私たちはクスクスと笑った。
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