存在

5/32
前へ
/32ページ
次へ
「うん……。上手くいってる」 菜々美のその一言に一応の安堵はしたものの、声のトーンが腑に落ちなかった。 「じゃあ、文句ないじゃない。何か心配なの?」 じれったくなった私は自ら切り出してしまった。 「……うん。ちょっと相談」 「何なの?」 奥歯にものが挟まったような菜々美の言い方に、私はせっかちに聞き返した。 「来週、日曜と月曜で連休になるから、お姉ちゃんのところ行ってもいい?」 「え? あ、うん。別にいいけど」 突然は話題を変えられ、気持ちを整理できないまま私はカレンダーを探した。 けれど、日程を確かめたものの、私に予定など滅多に入らない。 「じゃあさ、会って話す。お姉ちゃんと会うのも久しぶりだもんね。いつぶりだっけ? ゴールデンウィークは休めなかったから……その前、四月くらいかな?」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

463人が本棚に入れています
本棚に追加