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「え?」
私は思わず彼を振り返った。
「何? 嫌なの?」
彼が怪訝な表情を浮かべる。
「う、ううん、そうじゃないけど……」
私はまだ開けていないカーテンの隙間から陽射しが差し込むのを見つめた。
買い物は近くのスーパーだ。
明るいうちから近所に二人で出掛けることに驚いたのだ。
「……いいの?」
私は立ち上がりながら前置きをせずに聞き返した。
そして、彼にその意味をわからせるように勢いよくカーテンを開けた。
シャッと鋭い音とともに太陽の明かりが部屋に広がる。
「お、眩しい……」
彼は顔の前に手をかざしながらガラスの向こうを見つめた。
「二人で行こうぜ。どうせ一週間買い溜めすんだろ?」
「……うん、そうだけど。残業してたら帰りにスーパー寄るの億劫になっちゃって……。じゃあ支度するね」
私は自然になるように返事をしたつもりだが、実はとても緊張していた。
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