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私はそこまで聞いて目を丸くした。
製造部長が自分のそんなところを見てくれていたなんて、今までに一度も思わなかったからだ。
「そういう姿勢を持っている人に、みんなの先頭に立ってもらいたいと思ってる。君は自分から何かを発信することは苦手なようだが、もうそろそろ、そこら辺にも取り組んでみてもいいんじゃないか?」
私はごくりと唾を飲みこんだ。
「もしも、どうしてもダメだって言うなら、俺だって考え直すけど」
私は数秒間考えた後、結んだ唇をゆっくりと開いた。
「私にできるでしょうか?」
「だから頼んでる」
製造部長の力強い返事に私は決意を固めた。
「よろしくお願いします」
自分が……
自分でないみたいだった。
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