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「報われない恋をするっていうのは……辛いわよね」
彼女は私に同情し、さらに自分を慰めるように言った。
そして、無理やりに笑顔をつくる。
「お兄ちゃんが終わったら、次は私だなぁ、きっと。ねえ、私にはどんな人がいいと思う? やっぱ、超イケメンで金持ちかな?」
彼女はおどけるように大きな目を見開いたまま私に顔を突き出した。
私はしばらくその目を見つめた後、目を細めて答えた。
「……優しい人」
それを聞いた彼女の大きな瞳が静かにしぼんでいく。
そして、それと同時に背中を丸めて俯いた。
わずかだと思っていた時間は実際には数分が経過していた。
その沈黙の後、彼女が呟いた。
「帰ろっかな……」
そして、ぼんやりと私に尋ねた。
「ねえ……。足のサイズ、いくつ?」
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