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笑顔の代わりに見えるのは見たこともない硬い表情。
眉間には深い皺が刻まれていた。
心臓が跳ねる。
テレビドラマや小説に『偶然』は付きものだけど、
現実にはそんなものはいらない。
欲しくない。
彼女のことはちらりと見ただけ。
だけど、派手な服装に、目鼻立ちのはっきりした顔立ちだったことは確かだった。
一目で……美人だと、誰もが思うような女性だった。
「ガクちゃん……?」
恐る恐る呼びかけた私の声は彼に届いたのかわからない。
けれど、その瞬間、私の背後から思ってもいない声がした。
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