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彼女はまるで拗ねているように、顔に不満を露わにして立っていた。
ガクちゃんはそれにため息をついたけど、私は彼女のことを思うとどこかやりきれなかった。
私の目には彼女の表情は悲しげで、寂しげに映っていた。
彼は彼女に目をやると、私が整えたエコバッグを提げて無言のまま店を出た。
彼女はガクちゃんの背中を見た後、私に視線を移した。
私はその目力に圧倒されそうだった。
つい、先程までとは別人のように、敵意を剥き出しにした鋭い瞳。
私を睨みつけるその目の下では固く結んだ唇がわなわなと震えている。
私は動くことができなかった。
その間に彼女は鼻から息を吐き出し、ガクちゃんが出て行った出入り口に向かった。
私は彼女の視線から解放され、やっとの思いで一歩を踏み出し、二人の後を追った。
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