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けれど、それは……
はじめからわかっていたこと。
常に覚悟もしていたことだ。
いずれにせよ、遅かれ、早かれやってくる現実なのだ。
そうやって自分を納得させようとしたけれど、今、それを考えることはとても億劫なことだった。
今はただ、目の前の焼きそばを彼と一緒に笑って食べたかった。
私は余計な思考を振り払い、彼と勝負でもするかのように、大口を開けて焼きそばを頬張った。
「口デカすぎ」
彼に笑われて私は「だってお腹空いたもん」と、言い訳した。
そして、瞼を刺激する涙になる直前の感情を
焼きそばと一緒に飲みこんだ。
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