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それを電話で聞いた時には頭に血がのぼるというよりも、呆れて言葉が出てこなかった。
激昂して「見合いには行かない」と、言い張ったところで、行かなければ恥をかくのは親父でもなければ母でもない。
他でもない相手の家だ。
何も知らずにいる先方に恥をかかせるわけにもいかず、俺は仕方なくこの見合いを承諾した。
ただし、これはまったく自分の意思とは無関係なので、
俺にとって『見合い』という意味合いはなかった。
だから、俺はあえてカコにも言わなかったのだ。
嘘をついているわけではない。
俺にとっては仕事となんら変わりのないものなのだ。
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