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◆◆◆
少しだけ横になるつもりが……
そのまま翌朝を迎えていた。
まだ脳がまどろむ浅い眠りの中で視覚よりも先に聴覚が小さな刺激に目覚めてしまった。
静まった朝にいつもはないはずの雑音が紛れていたのだ。
少しずつ冴えていく脳が物音の正体を探るようにアンテナを張る。
物音はキッチンから聞こえてきた。
上半身をゆっくりと起すと頭がズキズキと痛んで顔をしかめる。
思わず開いたはずの瞼を硬く閉じてこめかみを強く押さえた。
「カコ……?」
思わぬ声に、頭の中で脳が揺れた。
私は目を開けてこめかみから腕を下ろした。
「……ガクちゃん?」
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