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朝、目覚めた時から、幾分身体が重かった。
気が乗らないせいでそう思うだけだろうが、気を付けていないと無意識にため息がこぼれてしまいそうだった。
俺は簡単な朝食の後、スーツを身に着け、予定していたお見合いの会場となる料亭へ向かった。
少し早目に出たつもりだが、俺が到着したときには仲立ち人が既に待っていた。
体裁を重んじる俺の両親はそのすぐ後に到着し、後は相手を待つだけになった。
「立派なご子息で。相手方のお嬢さんは今日をとても楽しみにしてらっしゃいますよ」
仲立ち人は親父と母親の共通の知り合いだった。
彼女の化粧の厚みと笑顔の深さが今日の見合いへの意気込みが嫌でも伝わる。
俺は決して表には出さないように、心の中で大きなため息をついた。
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