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彼は私をテーブルの前に座らせ、スプーンを手渡してくれた。
そして、自分も隣に腰を降ろした。
「思ったより元気で安心したよ。……つうか、マジで安心した」
彼は本当にホッとしたのか、緊張した笑顔から力を抜いて表情を崩した。
その表情の変化にまた胸の奥を揺さぶられた。
「俺の初料理だからな。心して食えよ」
ガクちゃんは私に見つめられて照れたのか、私の頭を撫でるとしきりに目の前のおかゆを勧めた。
「……ありがと。心していただきます」
私は微笑み、手を合わせてご飯茶碗を手にした。
スプーンにすくい取り、ふうふうと息を吹きかけ口に入れる。
薄目の優しい味。
彼の優しさは、私の身体をじわじわと内側から温めた。
「……美味しい」
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