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「嬉しいけど、家でゆっくりしたら? 私、何か変わったもの作るから」
最近は遅くまで仕事をしているようなので、彼の身体が心配だった。
けれど、私の心配をよそに彼はすぐに私の案を否定した。
『カコの手料理は嬉しいけど、明日じゃなきゃダメなんだ』
「もしかして、すごく人気のお店なの? なかなか予約が取れないとか?」
『まあ、そんなところ』
ガクちゃんの笑い声が聞こえた。
私は彼を心配しながらも、彼が忙しい中そんな店を自分のために予約してくれたのかと思うと、当然嬉しかったし、行かないわけにはいかなかった。
何より、ガクちゃんをがっかりさせたくはない。
「……ありがと。じゃあ、準備しておく。ちょっとかしこまった感じだよね? 何着て行こうかな」
私は自分の顎に指を当てて天井を見上げながら考えた。
「……あ」
『ん、どうした?』
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