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「……ガクちゃんに買ってもらったワンピースにしようと思って」
私は彼に買ってもらったあのワンピースを思い描いた。
ワンピースはあの日以来、出番もなく押し入れの中で眠っている。
『そっか。楽しみだな』
ガクちゃんがゆったりと穏やかに言った。
「うん。楽しみにしてる。仕事、頑張って」
『了解』
「ガクちゃん……。電話、ありがとね」
私は電話を切る間際に少し改まった。
『ん。じゃあ、おやすみ』
彼の微笑みが瞼に浮かぶ。
私も静かに微笑んで電話を切った。
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