634人が本棚に入れています
本棚に追加
ある休日の昼下がり、
私のアパートにはいつものように彼がやって来ていた。
あれからもうひと月ほどが経っていた。
私はガクちゃんのおかげで
今もこうして
彼と一緒にいることが出来る。
あの日のことは
私は一生忘れないだろう。
だけど、やっぱり、料理の味はよく思い出せない。
ガクちゃんは大丈夫だと言ったけど、
普段使い慣れているはずの箸でさえ、
手元がおぼつかず、上手く使いこなせなかった。
それ以前に、
胸がいっぱいで、
空腹であったことも忘れていた。
今、ガクちゃんはキッチンでコーヒーを淹れている。
私は午後の日差しを浴びながら金魚鉢の前で寝転んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!