634人が本棚に入れています
本棚に追加
「菜々美ちゃんのことか?」
「うん……」
菜々美のことを考えると、
ガクちゃんと心が通じた今も実は少し複雑だった。
もちろん、菜々美にはまだガクちゃんのことは話していない。
だけど、本当は
……話したい。
たった二人の肉親だ。
悲しみを分け合ってきた菜々美だからこそ、
喜びを分かち合えるのも菜々美しかいなかったから。
けれど、私にはまだ勇気が湧かなかった。
私がもう一度ため息をつくと、ガクちゃんが子供をあやすように、私の頭をゆったりと撫でた。
「カコだけ幸せになるわけじゃないだろ?」
「……え?」
最初のコメントを投稿しよう!