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私は少し身を乗り出し、彼の顔を覗き込んだ。
ガクちゃんは私の前髪を掻き分けながら指先でおでこを撫でた。
「カコが菜々美ちゃんより少し先に幸せになるだけだ。それに、カコの幸せは菜々美ちゃんの幸せにもなるさ」
「私の幸せが……菜々美の……?」
「ああ。カコが証明するんだよ。菜々美ちゃんだって幸せになれるって」
……目頭が熱い。
私はその熱が涙に変わる前に顔を逸らし、再び彼の胸に顔を埋めた。
すると、ガクちゃんの体温がしみてくる。
一度こらえたはずの涙が我慢しきれずに溢れ出した。
すぐに拭おうと思ったのに、涙が伝っていくのが早すぎて間に合わなかった。
私の涙はガクちゃんの胸元を濡らした。
ガクちゃんは私の頭を抱えるように自分に強く引き寄せた。
「俺が……証明してやるから……」
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