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私はガクちゃんのシャツをちぎれるほどきつく握った。
涙が後から後から溢れてガクちゃんの鼓動まで濡らしていく。
彼はしばらく黙って私を抱きしめた。
強く、強く抱きしめた。
そして、私を抱いたままゆっくりと身体を回転させた。
私たちが正面で向き合うと、ガクちゃんは手のひらで私の涙を拭った。
「カコって、案外泣き虫だったんだな」
ガクちゃんが笑う。
「ホントね……」
私が笑って目を細めると、目じりからは再び大粒の涙が零れ落ちた。
彼はそれを指先ですくい取り私の頬を優しく包んだ。
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