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私の身体は
彼の声に射抜かれたように
彼の腕の中で崩れ落ちた。
全身から力が抜けて
動けなかった。
そんな私をガクちゃんは抱きかかえるように支えてくれた。
私たちは屈んだまま身体を寄せ合っていた。
彼の顔がすぐそばにあるのに、
私は正面で顔を合わすことが出来なかった。
そうすれば、自分がどうなってしまうのかわかっていたからだ。
おそらく、ガクちゃんにだってわかっていた。
「カコ、俺を見て」
彼はそれをわかった上で私を呼んだ。
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