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9月24日 坂部邸 書斎
窓から入ってくる光が、宙を舞う埃を照らしている。
本に囲まれた書斎の椅子に、一人の男が座っていた。
まだ若さの残るその顔は、しかし、げっそりとやつれている。
「……めい、香奈、お父さんはもう疲れたよ」
言って男は、手元の日記帳を閉じた。
そして、机の引き出しを開けると、そこからひとつの手鏡を取り出した。
「明石さん……なんでこんなことになったのかなぁ……」
力なく男――坂部雪人は笑って、そして鏡をのぞき込む。
鏡には――
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