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 「そうして、発狂した妻は、旅人を殺して回る鬼婆となる。その後、とある坊さんに退治されて、事情を知ったその坊さんが供養のために黒塚を作ったんだと」  「………なんか、悲しいね」  「お母さんを探してたのに、お母さんに殺されちゃうんだもんね」  シゲルの返事に、ハヅキは首を振る。  「ううん。娘じゃなくて。いや、娘も可哀想だけど、お母さんも可哀想」  「お母さんが?」  「うん。きっとさ。目の前の現実がちゃんと見えなくなっちゃうくらい強い感情ってあるんだよ。きっと、それだけ、自分の旦那さんが死んじゃったのが辛かったんだよ。娘が結婚して、子どもを生むくらいの年月が経っても、その思いは消えなかったんだね」  「………」  「………」  「………」  「………、っ、あ、ごめんね、なんか、語っちゃったー」  「ハ、ハヅキちゃんって、大人だね………」  「おまえ、人のこと変なあだ名で呼んでるけど、おまえの方がよっぽどラヴちゃんなんじゃねえのか?」  「はーちゃん、僕と同じ年だよね? 同じ小学三年生だよね?」  「だ、だーーー! そんなことありませんのことよ!? じゃあ、つぎは私ね。私が調べたのはこんな話。どっちかっていうと、起源的なお話かな」
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