ep1.プロローグ

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 僕は、がっかりした。  「全て仕事のせいだ!」と言いたくても言えなかった自分にがっかりした上に、日常で不自由を感じなかったので、ここまで悪化していたことに気付かなかった自分に、がっかりした。  あぁ、また眼鏡を買わなければ。  今のままでは、裸眼で30cm……いや25cmくらい離れた物までしか輪廓のハッキリ分かるものが無いのだ。25cmなんて手を伸ばすまでもない範囲の物しか見えない。  それならば、まだ鼻や耳の方が僕の得られる情報としては、ずっと多いことになる。眼鏡1つ無いだけで、僕はまるで小動物か魚のようになってしまうのか……はぁ。  また、空が遠くなったような気がした。……いや、最初から空は間違いなく遠かった。夜空を見渡せば、無数の星が空に張り付いている。大型の天体望遠鏡に腰掛け、ダイヤルを回せば僕が星空に近付けるけれど、天体望遠鏡も眼鏡もなければ、僕の見える世界の星は減るだろうか。
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