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今日は雨だ。注文していた新しい眼鏡を受け取りにいかなければ。こんな日に、わざわざ外にでなければならないなんて、ついてない。
スーツを着込み、ロングコートを羽織った。帽子は肌寒いので狐で作ったハンチングにしておいた。鏡の前に立つと、心がシャキリとする。街中に出向くには、それなりの格好をしなければ馬鹿にされる。
硝子屋には、馴染みの亭主がのんびりと葉巻を吸っていた。僕を見るなり店の奥へ品を足早に取りに行く。
「あぁ、星見様。眼鏡でしたね、出来上がっておりますので、少々お待ちを。かけていかれますかな?」
「ああ、折角だから かけていこうかな。雨でも視界は抜群ですかな?」
「今お使いのものよりは、雨粒が落ちる様も見られますよ。では、今お使いのものは箱にいれ御包みしましょう。クロスも入れておきますので。」
「いつも申し訳ないね、今度は館にもお越し下さい。もうすぐヤーデフの流星群がこの辺りでも見えますから。美しいですよ。」
「妻が楽しみにしていますから、是非伺わせていただきますよ。」
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