3人が本棚に入れています
本棚に追加
賢人とも、元どおりだ。
学校の帰り道、後ろに人がいないことを確認してから、賢人が僕に言った。
「ちょっと、やりすぎたと思うんだけど」
「僕もちょっと後悔してる。けど、親父は忙しさが減って楽になったっていうし、トリオも静かになったし、目的は達成されたよ」
「人が死んだら、どうするつもりだったのさ?」
「そうならないように計画したんだろ。あの薪ストーブは鉄製だから、店が壊れるような大きな爆発にはならない」
乾電池と銀紙で火をつくり、ストーブ内の火が行き届いていない薪に投げ入れ着火する。
燃焼が加速してストーブ内全体が炎でたぎると、酸素が足りなくなり酸素を欲する高温のガスが大量に溜まる。
そこで扉を開けるなどして急激に空気を入れると、大爆発を引き起こす。
バックドラフト現象。
僕はこっそり扉を開けていた。
「賢人には負担をかけたな。ごめん」
「いや、みんなを見返してやろうって言ったのは俺だ。俺が島村のポケットに乾電池をいれたこともバレていない」
賢人には、トリオが確実に僕に助けられるシナリオになるように、仲間となってイートインへ誘導する役もしてもらった。
「ちょっとやりすぎたけど、もう二度としないし。刺激的だったな」
「刺激強すぎ」
賢人は青白い顔で笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!