親父

3/4
前へ
/14ページ
次へ
賢人とも、元どおりだ。 学校の帰り道、後ろに人がいないことを確認してから、賢人が僕に言った。 「ちょっと、やりすぎたと思うんだけど」 「僕もちょっと後悔してる。けど、親父は忙しさが減って楽になったっていうし、トリオも静かになったし、目的は達成されたよ」 「人が死んだら、どうするつもりだったのさ?」 「そうならないように計画したんだろ。あの薪ストーブは鉄製だから、店が壊れるような大きな爆発にはならない」 乾電池と銀紙で火をつくり、ストーブ内の火が行き届いていない薪に投げ入れ着火する。 燃焼が加速してストーブ内全体が炎でたぎると、酸素が足りなくなり酸素を欲する高温のガスが大量に溜まる。 そこで扉を開けるなどして急激に空気を入れると、大爆発を引き起こす。 バックドラフト現象。 僕はこっそり扉を開けていた。 「賢人には負担をかけたな。ごめん」 「いや、みんなを見返してやろうって言ったのは俺だ。俺が島村のポケットに乾電池をいれたこともバレていない」 賢人には、トリオが確実に僕に助けられるシナリオになるように、仲間となってイートインへ誘導する役もしてもらった。 「ちょっとやりすぎたけど、もう二度としないし。刺激的だったな」 「刺激強すぎ」 賢人は青白い顔で笑っていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加