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次の週、唐突に賢人が裏切った。
ある日、下級生が僕の顔を一目見ようと、教室の窓に群がった。
一緒にいた賢人には目もくれず、僕にキャーキャーと黄色い声をあげる女の子たち。
賢人は彼女たちを一瞥し、岡田たちのトリオの目の前で、僕に宣言した。
「お前ってやっぱり、目立ちたがり屋だよな」
「は?急に何言ってんの」
「自分は何にもしてないくせに有名人のフリして。岡田たちの言うことも分かるよ。俺、もうお前の態度にはうんざりなんだよ」
突然、面と向かって暴言を吐かれ、僕は賢人をまじまじと見つめた。
岡田、島村、松本はこの意外な展開ににやにやが止まらないらしく、「いいぞ、賢人」と首を伸ばして野次を入れた。
「賢人、急になんだよ」
「前から思ってたよ。俺、よく考えたら岡田たちのほうが話合うわ」
そう言って、賢人は岡田たちに歩み寄った。
「賢人、やっとわかったか」
「仲間に入れてやるよ」
「やっぱお前、賢いな」
賢人がトリオに吸い込まれていく。
僕は一人教室に立ち、周りのクラスメイトたちが遠くに感じた。
「くだらない……。勝手にしろよ」
僕は吐き捨てて、教室を出た。女子たちが周りを囲み、さらに僕を孤立させた。
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