第1話・呪われる腕輪

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「突然……うぅむ。そうか、そうなの……か」 思い当たる節はあった。俺が女になる時は特に条件や、特定の何かがあるワケもなく、いつも不意を突かれる事が多かったからだ。 「綺麗なブレスレットだね。高かったかい?」 「俺を褒めても何も出んぞ」風間の言葉には女を気遣う優しさがあり、俺には真似出来ん。 「今年転校したケンから譲り受けたモノだ。 旧皆星村に古くから伝わる儀式とやらを受けてから、俺はこの腕輪をずっと付けているんだ」 風間の言葉に反抗するように言ってやった。 もし本当に買ったモノだとしたら、さぞかし高価な装飾品になるがそんな趣味は無い。 「……そうだったのか……すまんな、俺も昔から皆星市に居たんじゃなくて、小学生の時に引っ越してきただけで、元は栗(クリ)市の生まれだ」 栗市は、皆星村を挟んで光絵市の反対側にある、それなりに活気の盛んな都市になる。 小学校の遠足で、栗市の動物園に行ったな。
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