第1話・呪われる腕輪

7/21
前へ
/190ページ
次へ
「ハルは光絵市の人だよね?」 今さら何を訊いているんだ。知って……ないか。 そうだった。俺と風間は中等部二年でクラスが初めて一緒になった程度だ。 風間は誰に対しても公平に接する、出来た人間。 当然俺のような出来損ないのような人でも分け隔てなく接してくれたぐらいだったな。 当時は、そんなに仲がいいわけでもなくクラスメイトの一人として接したぐらい。 高等部に上がって、一年で同じクラスになったので、こうして昔を懐かしんでいるがそこまで深い関係にあったワケでも無かった。 「……うーん、ならば皆星村の人を探せばどうだ?」 アドバイスをくれたのは有り難かったが、難しい。 旧皆星村は元々過疎化が進んでおり、一時は<限界集落>と呼ばれて消滅の危機を迎えた。 そこに、光絵市が手を差し伸べて私学や優良企業を誘致した経緯がある。 俺の父さんもその企業に勤めている人間だ。 病弱な母さんの影響もあり、少しでも環境のいい皆星市に移り住む事を覚悟して、引っ越した。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加