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俺?俺の事はどうだっていいじゃないか。ま、敢えて言えば……そうだな「悪くない」とだけ言っておけば、大方間違っていない。
三年で同じクラスになったのを皮切りに急接近したケンは、とても数ヵ月の仲と思えないくらいに俺に善くしてくれた。
もしかしたら、その事が俺の中で負い目になって、ケンの仕掛けたワナにまんまと引っ掛かってしまったのか?と推測出来る。
「なんだよ……急に。どうしたんだ?」
俺は薄々ケンに関する噂を聞いていたんだ。ケンが遠くの街へと引っ越してしまう事を。急接近したとは言え友達なのは変わらない。
こうして、月のよく見える小高い丘で青春の一ページを刻むのも悪くない。
旅の恥はかき捨てなら、青春の恥は笑いの種。
二十歳になった時に、二人で語った思い出は一生の忘れない記憶として百まで留まるはず。
「ハルならなんか有るかな?って、な」
ケンも照れているようで、そんなクサい事を言うようなヤツでは無い事を俺は知っていた。
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