プロローグ

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「僕は子供の時に親から聞いて、知っている。『どんな願い事でも叶う方法』を知っている。ハルになら、この街を去る前に教えてやれる………」 噂は本当だったのか……と、再確認すると共にケンがこの街と皆星学園から去る事を、俺は寂しく感じないわけが無かった。 たった一年とは言え、かなりお世話になったし憧れだけで終わっていた、みゆちゃんと話すきっかけも作って貰えたから、でもある。 「願いが叶う……なんて、証拠でもあるのか?」 現代は科学を信仰し、非科学的な言い伝えは都市伝説として語られる程度で信憑性は薄い。 証拠の一つでもないと、信じないのが普通だ。 「これが証拠だ。この『Sudden』と刻まれた腕輪は、旧皆星村の誰もが知る伝説の一つだ」 ケンは腕を捲って、黄色く光るブレスレットを俺に見せて、語りかけるように言った。 「俺は春に皆星を出るのは知ってるだろ?」 「ああ……噂には聞いていたよ」と俺は頷く。
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