第3話・呪われたデート後編

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「シュン兄ちゃん、ぃぃょ、ありがとうなんて言わなくても。映画はわたしが観たかっただけだし、秋名さんに怯えるくらいのヘタレだ。 むしろ『女の特権』とやらを活用している女々しいヤツだ。風間は言葉だけで終るような、口先だけの人間じゃない。誰が何と言おうが、俺が証人になってやれる」 本当にそんな気持ちで今日の「デート」を引き受けたつもりでは無かったが、風間の良い所をたくさん発見出来ただけでも充分価値があった。 ―――――― 楽しい時間と言うのはアッと言う間に過ぎるモノ。 気が付けば、まだ話していない事は海にある砂粒の数ほど多くて、とても一日では足りないような気がした。それでも時間は無情に過ぎて行く。 「今日はこれくらいにしておこうか」 風間がこの言葉を切り出すまで、時計を気にする事も忘れてしまう程、風間と会話をしていたかった。 女の身体?そんなのは関係無い。何せ俺たちはまだ高校生になったばかりの15歳だ。そんな事よりも大事にしたい「今」がある。
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