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「でも、家は話した通りの三人家族。一番は父さんに淋しい想いをさせたくない。毎日一緒に居る事が当たり前に思えて、母さんと言う人が居るから当たり前に思っていてはダメだと思う」
「ハルの気持ちも分かるよ。俺も母さんに同じ想いをさせるくらいなら、命を賭けてでも断るね」
お互いに分かり合える共通点があるだけに、お互いに対して優しくなれる心を持っている。「今」しかないのは、家族に対しても同じ事が言える。
「……ハルが最後にお母さんと会ったのはいつ?」
「春休みの時に1回(病院に)行ったくらいだな。そう言う風間が最後にお父さんと会ったのはいつなんだ?」
「ハルが羨ましいよ。俺は1年くらい前だな。皆星学園高等部に進学する意思を直接伝えた時だね」
「そっか。大変なんだな……」
風間の父さんと風間の距離より、俺と母さんの距離が近い事に、世の中の不思議をみた。物理的な距離では計れない、心の距離は大きな違いがあるから。
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