君がくれた世界

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 彼の指が体の外に出ていく。意識が小さな蕾の中だけに集中し過ぎて、彼の指の形どころか指紋まで分かるようだ。  すっかり引き抜かれてしまうと、閉じていく蕾の奥がなぜか空っぽで冷たく感じて、すぐにそこを埋めてもらいたくなった。  指を引き抜くと、彼が俺を仰向けにして覆い被さってきた。太ももの辺りに村瀬さんの大きくて硬い屹立が触れる。期待と不安で一気に胸が一杯になった俺の額にかかる前髪をあげて彼がキスをすると、真剣に瞳を覗き込んで、 「つらくなったり、怖くなったら、我慢せずにちゃんと言うんで」  俺が小さく頷いたのを確認してから、彼は上体を起こして俺の両足を二の腕へとかけた。  蕾の入り口に熱くて硬くて大きな昂ぶりが添えられる。はあ、と一つ息を吐き出して村瀬さんが俺に腰を押し込み始めた。  ぐぐっと蕾を割って入ってこようとするそれに体が勝手に固くなる。さっきまで指で蕩けるように解されていたのに、全く無駄になるくらいに彼の熱塊は質量を増していた。 「うっ、……んんっ」  痛みを伴いながら開かれていく襞と内側を擦られる感覚に思わず歯を食いしばった。 「カズト。大きく呼吸をして力を抜け……」  言われてなんとか村瀬さんを見ると、そこにはなぜか辛そうに眉間に皺を寄せている彼の表情があった。  村瀬さんも苦しいの? どこか痛いの? それとも、俺の体が良くないのかな……。 「大丈夫か……?」  大丈夫じゃないよ。痛いしお腹の中がいっぱいで苦しいよ。  だけど絶対に言わない。言ったら村瀬さん、やめちゃうもん。そんなのやだ。やめて欲しくない。  このまま村瀬さんとずっとこうしていたい。  この世界でたった一人の人と繋がりあっていたい……。  ふっ、と短く息をついた村瀬さんの屹立がさらにぐうっと押し入ってきた。 「ああっ!」  大きく喘いだ俺に顔を寄せて優しく抱きしめてくれる。 「カズト……。いま、俺が全部、お前の中にいるよ。このままちょっと慣らそうな」  あんなに大きいのが……、自分の中にいる。  目尻に溜まっていた涙がこぼれた。それを村瀬さんが唇で吸いとってくれる。そのまま二人で抱き合って、俺は村瀬さんの心臓の鼓動を感じ取っていた。  互いの触れ合う肌が汗ばんできた頃、村瀬さんはまた俺から離れながら、
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