君がくれた世界

108/110
前へ
/110ページ
次へ
 一層激しさを増した村瀬さんの動きに離されないように手を伸ばした。その手を握ってくれた彼が一瞬、はっ、と息を飲んで、そして大きく肩を震わせた。  じわり、と彼の熱情が蕾の奥に注がれるのが感じられる。その仄かなぬくもりと、呼吸と整えながら上気した視線で俺を見つめる彼の顔に、  ああ、そうか。これが、切なくて愛おしいっていう表情なんだ――。 「村瀬さん……、大好き。どうしよ……、なんだかとても胸がくるしいよ……」  熱に浮かされた俺の言葉に、彼は優しい艶めいた笑みを浮かべると、 「……それは俺も同じだ。お前が好きだよ、カズト。こんなに甘くて切ない気持ちは……、二人で分け合おうな――」  まだ存在感を保っている蕾の奥の彼自身がまた動き出す。同時に村瀬さんが俺の花茎を再び握りこむと、激しさを増しながら互いの熱を開放していく。 「……っく、んんんっ、んぁっ、……ああっ、また、……イッちゃ……っ!」  彼に教えられたばかりの官能に抗うように大きく手を拡げた。強く抱きしめてくれた汗ばんだ肌に甘く噛みつく。  はっ、はっ、と短く息を継ぎながら動いていた彼が、くっ、と小さく吐息を吐き出して止まった。打ちつけられていた腰が細かく震えるのを認めると、 「はあぁ……。あッ……、っふう、ん……」  とろり、と自分の芯の先端から温かな白濁がまたこぼれ落ちる。それを愛おしそうに彼に搾り取られた。  それから、俺は村瀬さんとふたりで何度も絶頂を迎えると、やがてゆっくりと意識を手放していった。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加