君がくれた世界

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 おかしいよな。彼に会うまでは他の男子高校生と同じように、可愛い彼女が欲しい、なんて普通に思っていたのに。  だってさ、あれはかなりに反則だった。  そうでなくても彼は今まで俺が接してきたニンゲンたちとは違ったんだ。それだけでも驚きだったのに、いきなりあんな王子様みたいな事をされたら、誰だってイチコロだよね。  あ、やば。  また、あの時の事を思い出して自然と顔がニヤけてくる。  海から吹く夜風は頬を切るように冷たいのに、なぜか体はぽかぽかと暖かくなって、対岸の島の小さく揺れる灯りを見ながら俺はさらにニヤニヤした。
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