君がくれた世界

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 その囁きにふわふわと体に力が入らなくなる。このまま宙に浮きそうな、地面に溶けて無くなりそうな不思議な感覚に、彼の背中に両手を廻して強くしがみついた。  ああ、きっと。俺はこの幸せな瞬間のためだけに。  あの、ちっぽけな自分の世界を壊して、ここまで来たのかもしれない――。
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