【クリスマスなんていらない】

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午後になり、 仕事を切り上げたガクちゃんが私をアパートまで迎えに来た。 「悪い、遅くなった」 「いいよ。お疲れさま。少し休んでいく?」 「いや、すぐ出よう。今日は向こうでゆっくりしたい」 「うん。コート着てくる」 ガクちゃんが珍しいことを言うなと思いながら、私はコートを取りに奥に戻り、荷物を持って慌ただしくアパートを出た。 そして、まずはスーパーに立ち寄った。 ああだ、こうだと言ってのんびりと買い物カートを押して進む。 やっぱり、こういう何気ない時間がとてもうれしい。 レジカウンターに向かった時にはカゴの中は溢れんばかりに商品が詰まっていた。 ガクちゃんの支払いで会計を済ませ、次に向かったのは洋菓子店。 カウンターでは予約のケーキの受け取りに列ができている。 私たちはその列を避けてショーケースに残るケーキを覗き込んだ。
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