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「ガクちゃん、洗濯物溜まってない?」
ガクちゃんのマンションに来るのは久しぶりだった。
玄関で鍵を開けるガクちゃんに、私は冷やかすように言った。
「溜めてねーよ」
ガクちゃんは笑いながらドアを開けた。
ドアの向こうから自分の家とは違う匂いが鼻をくすぐる。
ガクちゃんの匂い……
「お邪魔します」
私は久しぶりの訪問に少しかしこまって中に入った。
「先行って。荷物持っていくから」
ガクちゃんは一度玄関に下した買い物袋や紙袋を手に取りながら私を先に行くよう促した。
「大丈夫?」
振り返って手を伸ばそうとすると「いいから行って」と、ガクちゃんが顎を突き出した。
「ありがと」
私はガクちゃんの邪魔になると思い、リビングに向かって先に廊下を歩き出した。
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