【クリスマスなんていらない】

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「カコの飯が食べたいから」 次はどんな言い訳をするのかと思ったら…… 我慢していた笑いが私の顔を崩す。 「ガクちゃん、言い訳上手いんだから」 「言い訳じゃねえよ。本心」 「ホントに?」 「ホント」 「……ありがとう」 私は少し恥ずかしくなって視線を手元に落とした。 「じゃあ、私がこっちでも料理できるように……いろいろ揃えてくれたの?」 「まあ……そういうこと。なあ、カコ次は? 次は何入れればいい?」 ガクちゃんは返事をしながら、私がこねているハンバーグの種を指して言った。 話の腰を折るのは出来上がるのが待ちきれない子供みたいだった。 「次は……塩コショウ。入れすぎないでね」 「了解」 ガクちゃんは新品同様の粗びきコショウに手を伸ばした。
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