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「似合う?」
ガクちゃんは箱からネクタイを出して自分の首元に合わせた。
「うん、似合う」
私は大きく頷いた。
シャツもスーツも着ていないが、私の想像していた通り、いや、想像以上によく似合う。
「やった。実は彼女にネクタイプレゼントしてもらうの、密かに憧れてた」
「嘘……」
「ホント。来週これで会う人会う人、みんなに自慢してやろ」
「やだ、ガクちゃん子供みたい」
そんなことを言いつつ、内心ではうれしくてたまらない。
彼女……
憧れ……
自慢……
「いいの。男はいつまでたってもガキなの」
大げさに唇を尖らせる彼に、
私はもう一度ゆっくりと微笑んだ。
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