【クリスマスなんていらない】

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顔の手入れを済ませ、髪を乾かし、歯も磨いた。 「カコ、寝るか」 「うん……」 私はそう言いながらもクリスマスツリーをもう一度見つめた。 その間にガクちゃんが部屋の照明をゆっくりと落とした。 暗闇に浮かぶツリーはそれ自体が宝石のように綺麗だった。 「なんだか……ずっと見ていたいくらい綺麗……」 すると背後でガクちゃんがクスリと笑う。 「そういうことなら、ちょっと待ってろ」 ガクちゃんは言うなりクリスマスツリーに近づき、一度電飾を消してそのまま根元からツリーを持ち上げた。 「ガクちゃん? どうするの?」 驚く私をよそに彼はそのままリビングを出て行った。 「ガクちゃん!?」
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