【クリスマスなんていらない】

47/56
前へ
/56ページ
次へ
こういう時はにっこり微笑んで返事をするのが王道だろう。 感動して泣いてしまうのもテレビではよく見たことがある。 だけど、私は…… そのどちらの反応も示すことができなかった。 「カコ……?」 無反応な私にガクちゃんが顔を近づける。 「ごめん、ガクちゃん……」 「え、ごめんって……」 「違う!違うの! そうじゃないの!」 「カコ……?」 「ごめん、ガクちゃん……。すごく大切な言葉だったと思うんだけど……私、驚いちゃって、ホントに。本当に驚いちゃって、一瞬で頭が真っ白になって……信じられないの」 私が必死に説明すると、ガクちゃんは一度強張った顔を再び崩した。 私もその表情に安心しながらゆっくりと口を開く。 「ガクちゃん……。お願い。夢じゃなかったら……もう一回だけ聞かせてくれる?」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1668人が本棚に入れています
本棚に追加