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私の聞いた言葉が現実なら、
ガクちゃんにとっては一生に一度といっていい、プロポーズだ。
こんなことを言えば彼が気を悪くするかもしれないと思いつつ、確かめずにはいられなかった。
「カコのためなら、何度だって言うよ」
ガクちゃんはそう前置きすると先ほどの微笑みと同じくらい穏やかに笑った。
「カコ、結婚しよう……」
ガクちゃんの声は私の鼓膜を震わせ、胸の奥に響いた。
「夢じゃ……ないのね?」
私が言うと、ガクちゃんは私の手を取り、自分の頬へ私の手のひらを運んだ。
手のひらにはガクちゃんの体温。
「夢じゃねえだろ?」
私は頷きながら涙をこぼし、そして彼に微笑んだ。
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