【クリスマスなんていらない】

54/56
1660人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
金魚のあぶくがない部屋は 二人の息遣いが聞こえるだけ。 キスをすれば二人の唇が重なる音さえ聞こえてくる。 今年は暖冬で 雪も降らないけれど 私の周りには 何かがゆっくりと降り積もっているようだった。 ガクちゃんの肌から伝わる体温は 私に安心と幸福を与える。 二人の体温が溶け合う間際、 私は彼の頬を両手で包んでこう言った。 「メリー……クリスマス……」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!