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例の噂を聞いたのは、私が病院を訪れる1日前だ。
友達に引っ張られオカルトサークルたる、大学の中でも屈指の変人サークルに入れられ、その部室でのことだった。
「秘密の終点?」
オカルトチックな話は何度も聞いてきたが、こういう話は初めてだった。駅であるとするなら、自殺した人の霊がいるとかが多いだろうか?
「えっ、なにそれ?」
「何言ってんの、紗枝の地元じゃん」
「えっ!地元?!」
サークルに話を持ち込んできたのは、私と同じゼミの友人だった。詳しい話は今度のゼミで発表してくれるそうだから深く追求はしないが、何でも調査している中でそんな些細だが、不思議な噂が浮上したようだ。
というか、今度のゼミでそんなこと発表するんだ……。
「たしかに、私の最寄り駅は終点だけど、そんな大層な噂が立ちそうな要素ないけどな」
「それがね、昔は結構流行ったらしいのよ。終点の河野駅に日の出の時間ちょうどに行くと、突然電車が来て、終点のさらに先へ連れてってくれるって!」
友人曰く、調査してほしいそうだ。まぁ、そういうサークルだから拒みはしないけど。
その友人は、言いたいことだけ言い終わるとまだプレゼンを作り終えてないからと足早に帰って行った。
この当時の私は、こんなくだらない話に、未来の私がすがりつくなんて夢にも思っていなかった。
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