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向こうに見える雪と光は世界の始まりを思わせた。なんだかここだけ切り離されて、ふたりだけになったみたい。でも何にも怖くなかった。
「凛、顔見えない。こっち向いて」
「後ろから…襲っ…たのはだれ…、だよっ?」
アクロバティックに足を上げて、繋がりを解かず向きを変えて抱き合った。無駄のないガブリエルの背中にしがみつき自分から限界まで腰を落とす。深い穴が欲しい欲しいと畝り、恋しい人の昂りを飲み込んでいくのを感じた。
「ンっっ…あっ…ふか…いっ……」
「深いトコ、好きになった?」
「…んっ、気持ち、いいっ…」
座位で深く受け入れても、初めての時みたいにもう泣いたりしない。痺れるような快感に自然と腰を揺すってしまい、もっと奥にとねだる。
耳元で溢れる艶かしい声に煽られ、最奥に熱を打ち付けるように動いた。下からもタイミングを合わせて突かれ、揺すり上げられ、限界が近い。奥が熱い迸りで濡らされたら、どうしようなく切なくなった。
「好き、凛。凛、りんっ、好き」
囁かれた声は、耳から身体中に染み渡る。
「もっと腹筋鍛えよっと。なんか明日筋肉痛かも…いや、違うとこ?セーリョク?」とぱたりとシーツに倒れガブリエルが続けるから「も…、色気ない。なんか色々違う…」と脱力して笑った。
「凛はノエルにボクの元に舞い降りた天使だよ。でもノエルを過ぎてもボクの側にいてくれるよね?」
ベタベタに過ぎるほど言葉は甘ったるいのに、ブルーの瞳に少しも茶化すところはなくて懇願するかのようだった。
もー、ほんとにばかだ、目の前にある顔の方が天使みたいだけどな、と夢心地に思う。
「そばにいるよ。何のために飛行機乗って来たんだよ。好きだよ、ガブリエル」
体ごと唇を寄せて、ふわりと幸せに漂った。
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