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僕たちの恋は初恋のようにとろりと甘くて、毎日が楽しくて、年相応に無邪気にこの日々が続くことを信じていたのに。
いつの間にか、その先に来てしまった。
もう、逃げたりごまかしたりしない。すっと光が差し込むようにまっすぐに僕を見る瞳から、目をそらしたりしない。
カケオチはしなかったけど、生徒会長の任期を終えて、家でやりあって、ちゃんとこちらの学校に行く手続きをして、ガブリエルが住む国にやって来た。
来たよ……会いに来たよ。
ドラマティックでなくていい。ただ君のそばで、笑っていたいんだ。
予定より二時間を過ぎて外国の匂いがする空港に降りたった。重たいカートを押しながら少し不安な面持ちで税関を抜けると、冷たい雪を一瞬で溶かしてしまうようなガブリエルの笑顔にぶつかって、ひどく胸が熱くなる。
会いたかった。そう、素直に、すごく会いたかった。
背がしなるほど強く抱きしめられて、公共の場所であることなんて忘れて唇を合わせた。荒々しくコートの背に沈む手が愛おしてくて、触れるところが全部熱くて、深く深くと食まれ、されるがままになった。
日常と切り離された空間だからではなく、見つめられて触れた瞬間平常心を失った。「会いたかった」「好き」と湿った吐息の狭間で呟きあう。
やっとのことで体を離して、両手の指を絡め、微笑み合った。四ヶ月前と変わらない僕たちがいた。
すぐに市街へと移動するのかと思えば、ガブリエルが向かった先は空港直結のホテルだった。ガブリエルがチェックインの手続きを済ませる間、ロビーのクリスマスツリーを眺めていたら「行こう」と手を取られた。
ホテルスタッフが荷物を置いて出ると、ゆったりとしたスイートであることも確かめることなく、また抱き合って急かされるように唇を奪い合う。
角度を変える時舌を差し入れられ、求められるまま自分のものを絡め応える。ふとしたタイミングで離れて見つめあい、また表面だけのキスをしたり、髪を触ったり、コートを脱いで椅子の上に投げたり、少しずつ奥へと進んだ。
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