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溢れる熱で、もう気持ちは何もかも伝わってしまっただろう。会えただけで全てが一気に押し寄せてきて、隠し事などひとつもなく、恋の駆け引きもできなくて、誘うことすらできない。
ぎゅっと抱き合い、これ以上ないというほどくっついて中心の昂りを擦り合わせる。ふたりが零す蜜を混ぜ互いの欲望に擦り込むと、ひとりの時はあれ程耳障りだった水音さえ劣情を煽る熱に変わる。そこここに触れた手がもっと奥を探った。
「あっ…柔らかい」
自分のじゃない指が劣情を暴いていく。やわやわと周囲を解す慎重さに焦れてしまう。性急に欲しくて、体も中も期待を隠さず畝る。呼吸が一定間隔に保てないで、隙間から喘ぐような声が漏れてしまう。
「…っん、最近、後ろでシてたから…」
「ボクのこと、考えてくれた?」
恥ずかしくて目を合わせないで言ったのに、無理矢理視線を合わせるように覗き込まれる。その眼差しに素直に応える。
「そりゃ、ね……考えてたよ、ガブちゃんのことばっかり。ガブちゃんに…めちゃくちゃにして欲しー、とかもね」
会いたかった。会いたかったし、べたべたに口内を犯して欲しい。硬いので内側を擦って欲しい。訳がわからなくなるくらい揺さぶって欲しいと、思っていた。そんなこと全部は言えない。
「凛、なんでそんなナチュラルに可愛くてエロいの」
考えていたことが顔に出ていたのかと欲まみれの自分に呆れながら、男子高校生が好きな子のこと考えるのなんてそんなもんだよと、ひとり勝手に納得する。
「ひとりですんの…んっ…寂しくなるんだよ。ガブちゃんいないんだなって余計に思って…あっ…」
「…ン、わかる。ボクも凛のこと考えてたよ。やっと会えたね」
忙しい出発前の時期、我慢がきかなくて何度かひとりでシてしまった。やっと会えるって思いながら、お風呂で後ろを弄って声を殺して指を埋めた。シャワーを出しっ放しにしても、くちゅくちゅと響く音は神経を逆撫でる。
イったら気持ちは解放されるはずなのに、募る虚しさと切なさでいっぱいになって体を投げ出した。
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