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横目で見られてる事なんてバレバレなくらい熱い視線を送ってくる有栖川。
俺のこのモヤモヤとした気持ちを何とかしてくれるなら視線を合わせてもいいけど、きっと答えなんて出してくれるはずもなくそのまま煩いオカマの話を聞いていた。
「ねぇ!ここで会えたのも何かの縁よ!ほら!こっちに見んな来て!写真撮りましょうよぉ!」
グイグイと肩を掴まれ体が傾きながら、有栖川もろとも菊ちゃんの腕に絡まれた。
密着した俺たちの体は異様なまでに近くて、整いすぎた有栖川の顔がいつも以上に近い。
「このおっさん、ホントに馬鹿力だな。ま、お陰で倫太郎とこうしてくっつけてるからいいんだけど。」
「言いながら、ケツ触ってんじゃねぇよ。」
やいやいいいながらも、満更でもない様子の有栖川。
「俺さ、正直あんまり人の輪って言うの好きじゃないからこう言うのも含め……。でも、好きな奴と一緒なら楽しめるもんだなって改めて思ったよ。倫太郎が俺を成長させてくれたな。」
「え?」
なに?この感じ。
目の前に菊ちゃんがいるのに、二人だけの世界みたいになってるの―――――。
そう感じるの、俺だけ?
「二人とも何コソコソ話をしてるのよ。ちゃんとあたしにも聞こえるように話なさい!!!二人の関係は、あたしにはお見通しなんだから、ね?」
俺たち二人の顔の間に顔を突っ込んできた菊ちゃんは、左右に顔を振って俺たちの顔を交互に見ながらウインクをした。
「!!!」
「あら、りん。その顔、あたしが全然気づいていないとでも思ってたの?」
いや、そんなことはないですけども……。
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