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俺は、タオルで髪の毛を拭きながら、膝に両手を置いている男を足蹴にしてやった。
今は、教師とか年上とか関係ない。
完全なる不法侵入者に対して、正当な対応だ。
そして、ここまでの流れは全て俺の家のリビングで繰り広げられている。
「だいたいあんた何しにうちに来────「どぉもすみません、うちのバカ息子がいつもお世話になっておりますぅ」
トレーを抱えた母さんが、甲高い声で登場。
どっから、湧いて出てきたんだよ。
『わぁ、おにいのガッコの教師??すげーかっこいーんだけどぉ!!』
続けて双子の妹たちが声を揃えて顔を出す。
マジあり得ない。
なんなんだよ。
賑やかくなりすぎだろ。
「やぁ、抜き打ち家庭訪問ってやつです」
デレっと表情を変えてボッサボサの髪の毛をボリボリとかく。
「あら、こんな休日にもご苦労様です。粗茶ですけど、どぉぞぉ」
『センセ―って大変なんですねぇ』
んなわけないだろが!!
アホかこいつら!
声揃えてるんじゃないよそこの、双子!
そう。
この男。俺の学校の高校教師。
確か臨時教師って言ってたけど、受け持つ授業は他のどの先生よりもわかりやすい。
だがこの男には重大な欠陥がある。
それは─────
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