とある事件

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理緒は裏口から、夏彦を連れ、研究所の非常階段へ移動した。 理緒と博士しか持っていない地下2階のドアの鍵をポケットから取り出し、鍵穴に差し込む。 「真っ暗ぁ~」 夏彦は呑気(のんき)な声を出す。 「明かりをつけるから部屋の中に入れよ」 「うん」 理緒は先に夏彦を部屋に入れると、あらかじめ地下倉庫に用意していたロープを背後から彼の首に巻き付けた。 「僕の側にいれば、もう辛い事なんかないぞ! 夏彦!」 研究所の地下第2倉庫に、理緒の声が響く。 「ぐ……!」 理緒に首をロープで背後から絞められ、夏彦が目を見開いている。 澄んだ美しい瞳が見る見るうちに赤く血走ってゆく。 「夏彦! もうお前は誰にも(はずか)しめられる事はない!」 「ぐ、ぐ、かッ……!」 言葉にならない苦悶(くもん)のうめき声をあげる夏彦。 夏彦が暴れ、2人は背後に倒れたが、理緒はその手を緩めなかった。 「夏彦! お前は僕の側に一生いればいい!」 やがて夏彦はグッタリとし、理緒は彼が呼吸を止めた事が解ると、指先で充血した赤い瞳を閉じさせ、服を脱がせた。 思った通り綺麗だ。 理緒は夏彦の身体をうっとりと見つめる。 1時間ほどボンヤリするとドアがゆっくりと開き、博士の姿が現れた。 「やったか」 「夏彦を僕の物にしたよ」 理緒は夏彦に向かって満足そうに微笑んだ。
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