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「勝ち負けがある遊び?」
「そうだよ! やろう! ジャ~ンケン!」
「ポン!」
2人は同じ手を出した。
「あいこで、しょ!」
「やった~~~、僕、グミ~~!!理緒君はチョコレート~~!!」
「おい、ところで、どうなったら勝ちなんだ?」
「えっ? えっとぉ~……、どうなんだっけ?」
「夏彦は綺麗なのに、ホント馬鹿だな」
「僕、綺麗?」
「あぁ」
「ふふ~」
夏彦が嬉しそうに笑う。
天使が本当に存在するのなら、こんな風に笑うのかも知れないと理緒は思った。
博士との情事の直後、研究所のベッドで、理緒は息を切らせなから言った。
「ホルマリンと水槽を頼む」
「2人目を見つけたのか」
博士はギョッとした顔をする。
「見つけた? そういう言い方をするなら、もうとっくに見つけてたよ。同じクラスの夏彦って言うんだ」
「……」
「彼を見つけたのは小学校の時。図書館の駐車場で野良猫に餌をやってたのを見つけたんだ」
「私立の有名小学校に通っていた君が、そこら辺の公立中学校に行きたいと、急に言い出した理由が解ったよ」
「そう、僕は夏彦と同じ学校に行きたくて、夏彦と同じ公立の中学に入った。父親が校長に金を渡して頼んだら夏彦と同じクラスにしてもらえた」
「理緒、もう勘弁してくれないか。これ以上はまずいと自分でも思うだろう?」
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